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最早この泡は気違いじみている。
霜が降りるように、そっと優しくしてあげただけなのに……。 ひょっとすると、グラスの相性が悪いのかも知れない。 遂にORVAL(オルヴァル)と対面する時が来た。 1本で5百数十円という強気過ぎる価格設定も含めて、ベルギービール(そしてトラピストビール)の真の王道として、有名な一品だろう。 これは主観だが、シャープな流線型を描いたボトルは、シンプルながら洗練されているデザインで、実に素晴らしい。(少なくともデュベルの巻き糞ボトルよりは以下略) 度数:6.2% 原材料:麦芽、ホップ、糖類、酵母 輸入者:小西酒造株式会社 原材料を見れば一目瞭然。これは、デュベルと同じ酵母入りのビールだ。 大抵のビールでは、瓶詰めの過程までに醸造に用いたビール酵母を取り除くものだが、オルヴァルやデュベルのようなビールでは、酵母を含んだままビールを瓶詰めする。 ビール酵母は瓶の底に溜まっており、瓶の中でも発酵を継続させるという。ということは当然、味はこってりフルボディということは想像できる。 更に、瓶に残留している酵母そのものもまた、ビールの味に影響を与える。 酵母を残すようにビール(の上澄み)を注げば、スッキリとした味わいを最初から最後まで味わうことができる。 その反面、ビール酵母も何も関係なしに全部グラスに注げば、苦味やエグミを持ったビール酵母が、モルトの甘く爽やかな風味にアクセントを与えてくれる。 私は貧乏性なので、上澄みだけでなくビール酵母まで含めて全部飲みたい。 オルヴァルはやや酸味が強めで、コクはあるが決して甘過ぎない。酵母を混ぜれば、終盤に差し掛かるにつれて徐々にビターな風味を楽しめる。 試行錯誤の末、上記の画像……まだまだ泡が多いが。 その個性の強さは、前回のシメイと比較しても頭一つ飛び抜けている。 1本空ければそれなりに酔いが回り、満足感も高い。 味は良いのだが、やはりビールとしては飛び抜けた(と言ってもまだ上には上が居るのだが)値段に、二の足を踏む人も少なくないと思われる。 味と価格……いずれをとっても決して万人向けとは言い難い。まして国産の安価なビールとは、その世界観からして、根本的に異なっていると言っても過言ではあるまい。 決して両者の優劣を問うているわけではない。それはアナログレコードとデジタルオーディオの優劣を比べる位ナンセンスだ。 オルヴァルは紛うこと無きアナログレコードである。扱い難くてノイズも多いが、デジタルの範疇に収まり切れない、膨大な情報量を内に秘めている。 それを無闇矢鱈と有難がり、崇拝・神格化するのも正直言ってナンセンスだ。 だがしかし、言葉では言い表せない「何か」……若々しい刺激的なパッションとは正対した位置にある、円熟した気位のようなものを持っている気がする。 これぞトラピストビールの持つ魔力か。 というわけで、今回はこのへんでさいなら。 PR |
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