なんでみんなスペインて言うんだろうなあ……。
イスパニア(エスパニャ)って言う方が響きが格好良いと思うけど。
てなわけでドン・キホーテのお目見えだ。

相変わらずアテにもならぬ画像。ここんとこやけっぱちの開封祭りだ。
イスパニアのアラゴン州より、ガルナッチャ・デ・フエゴ2012年。
実際開けてみて気づいたことは、とろりと深く暗い臙脂色。
開けた瞬間から、どろりと粘っこく纏わり付くような香りが匂い立つ。……成るほど、これがガルナッチャの、それも老樹から生まれた葡萄か。
一口舐めてみると……うん? これまでとは随分違った風味だ。
酸っぱいというよりしょっぱい。それもにがりのように、どことなく渋みやエグミを含んだようなしょっぱさだ。
何というか、舌や喉がキュッと引き締まるような味だ。
いつも通り、開封して一時間ほど放置したが、華やかさを少々通り越したキツめの匂いにややアルコール臭を増して、口に含むと酸味が出てきた。
このデュベルのグラス、意外とワインの香りも楽しめたりするのだが、ビールやウィスキー×ロックなんかにも使えるんで結構重宝してる。
しかしまあ、本当に強い香りだ。人によっては下品と感じる向きもあるかも知れない。かなりの若酒というのも関係するのだろうか。
……この風味と、この感覚をどう表現したらいいんだろうな。
土っ気と言うのだろうか。何だかこいつからは、いかにも畑で育てて収穫しましたという、大地というか土との繋がりを強く感じる。
こいつは一筋縄ではいかない。
骨太で筋が通っていて、辛口で媚びることなく、機嫌を取ろうと思ったらそっぽを向いてしまう……世間ずれした阿婆擦れのように。
だがしかし、こんなにも酔っ払うのに心地よい酒があったものか。
キューッと粗雑に煽れば、岩塩を舐めたような複雑な塩っ気と、ギュッと詰まった濃厚な果実の香味が同時にやってくる。
飲めば飲むほどに、銘柄にも冠されているイスパニア語のFUEGO――つまり炎の意味がようやく解ってくる。正に心が滾ってくるような味だ。
なぜこの酒が売れるのか私ははっきりと理解できた。
良くも悪くもこれは大衆のワインだ。良い意味で下品な味なのだ。
この酒を飲んで、酔って歌って騒ぐのはさぞ心地良かろう。
澄ました顔でグラスを傾けて講釈を垂れるような酒ではない。
バールで大皿の料理を摘みながら、グイグイとグラスを傾けて、壇上の踊り子に「オレー!!」と声を飛ばす……そんな光景が浮かんでくる。
なんてこった……まるで物に憑かれたようなことを書くなんて。
しかしまあ、辛口の赤を探している人には是非ともオススメしたい。
一回くらい、騙されたと思って飲んでみても損はしないだろう。
炎のラベルに偽りなし。燃えるように効いてくるワインだ。
というわけで、今回はこの辺でさいならー (×А×)ノシ
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