朝飯抜きで正午まで寝ていたというのに。空腹を満たすために
私が選んだ食べ物は、よりによってカレーだった。
理由は、銀行の隣に道路を挟んで、カレー屋があったから。

私が注文したのはこの料理だ。
合鴨と香草のスープカレー(辛さ度5)、一皿1200円。
この店には「辛さ度」みたいなものがあるらしい。
この辛さ度、中辛は3度ですとか宣っている割りに、やたらと
上限が高く設定されている(100度くらいだろうか?)。
それでまあ、初心者向けでは一番高い5度を選択してみたわけだ。
その時は我ながら、無難な選択をしたものだと思ったものだ。
そして、しばらく経過した後に出されたのが上の写真の料理。
うーむ……。全体にパン粉のようなものが散らされた見た目は
一種、独特だ。ひょっとするとこれが香草なのかもしれぬ。
まあ正直言って、合鴨の肉がどうこうとか、そういうのは
余り私にはよく解らない。ハムみたいに薄くスライスされて
添えられた鳥の肉はあっさり風味で、可もなく不可もなし。
際立っているのは野菜の風味だ。歯応えや風味がしっかりと
残っているが、芯までしっかりと火が通っている。
確認できた具材はインゲン、南瓜、人参、ジャガイモと……
後は何だかよく解らない、水菜のような形状の野菜。
カレースープは脂っぽくコクのある味というよりは寧ろ、
スパイスがよく効いた、さっぱり目でキレのよい味だ。
日頃口にしている固形スープのカレーと同じような感じで
食べると、手痛い反撃を食らうこと間違いなしだ。
意外と辛いんで内心驚いてしまった。まあ美味しいんだが。
うーむ……。1200円払って食べる価値があるかと言われると、
間違いなくあるだろう、と私は答える。
但し、ある程度辛い物に耐性のある人でなければ、カレーを
楽しむことは難しいだろう。初めからいきなり辛めの味付けで
注文したので、中辛がどの程度の辛さなのかは判らない。
だが私は少なくとも、辛さ度5で汗だくであった。
空きっ腹にいきなりそんなものを放り込まれたのだから、胃も
ビックリしたに違いない。口腔から咽喉部に至るまで、香草が
混じったスープを飲むと、ヒリヒリと焼けるように熱い。
毎度思うことなんだが……辛い料理を口にする時には、タオルは
最早必須アイテムのレベルではないだろうか。
店を出た後も、焼き窯で火を通されたように、じんわりと汗が
吹き出てくる。食べている最中も、完食した後にも、その辛さは
ボディーブローのように強烈に効いてくる。
いやはや、たまにはこんな食事もいいものである。
反省するべき点があるとすれば、朝食をしっかり摂った後に
食べるべきであった。今もまだ胃の下辺がじりじりと熱い。
やれやれ……辛いものというのは、ある日唐突に、発作的に
食べたくなってしまうものだからタチが悪い。
それでは、今回はこの辺でさいなら。
[1回]
PR